2023/08/11 近頃の話題やニュースから
救急搬送
救急搬送
毎日暑すぎて息苦しい日が続いていますね。仕事場のある銀座で多くお見かけする海外からの旅行者の方々も皆さんビルの陰に隠れながら散策をしています。せっかくの旅行なのにこんなに暑くて、日本人としてはちょっと申し訳ないような気にもなってしまいます。
そのような中、先月7月10日に、東京消防庁は救急車の適正利用を呼びかける「救急車ひっ迫アラート」を初めて出しました。東京都心では猛暑日になって熱中症の搬送者が相次ぐなど救急車の要請が急増し、出場率が90%を超えて救急隊の到着に時間がかかるおそれがあったことが理由のようです。
そもそも消防法第2条第9項では、救急業務とは医療機関などへ緊急に搬送する必要がある傷病者を救急隊によって医療機関などへ搬送することと定義されており、また、疾病の程度に関しては、消防法施行令第42条で、生命に危険を及ぼし若しくは著しく悪化するおそれがあると認められる症状を示す疾病とすることなどが規定されていますが、救急車の不適切利用者の存在も大きな一因となって、今回適正利用が呼びかけられたのではないかと思われます(近年の総務省消防庁の統計や報告書によれば、搬送人員の45%を占める「軽症(外来診療)者」のうち救急搬送の必要性が低かった者の割合は14.8%との数値が示されており、また、1年間に10回以上(中には50回以上も)救急要請した頻回利用者の存在なども指摘されています)。
近年では、救急車にも様々な種類が出てきています。消防士(救急隊員)と気管挿管などの特定行為を行うことができる救命救急士が搭乗する救急車だけではなく、医師が搭乗するドクターカーやドクターヘリ、さらには、大震災等の都市型災害の現場に出動する東京DMAT(救急・災害医療の知識を持つ専門医療チーム)の支援車や、大規模災害及び多数傷病者発生時などの災害現場で救護所としての機能を有する東京消防庁消防救助機動部隊の特殊救急車「スーパーアンビュランス」なども登場しています。
最近は、都内を約30分車で走っているだけで、1台か2台の救急車に出会うのが日常です。消防士になっている教え子が何人もいる僕にとっては、ハードな面での充実だけではなく、疲弊している救急隊員の現状を把握しながら、真に緊急を要する傷病者への対応の遅れがないようにする方法を早急に検討し実施に移すことも重要ではないかと感じています。
参考文献
東京消防庁 (@Tokyo_Fire_D) · Twitter 午前8:30 · 2023年7月10日
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)e-Gov法令検索より
消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)e-Gov法令検索より
東京消防庁「救急車の適正利用のお願い!!」東京消防庁ホームページより
総務省消防庁「令和4年版 救急救助の現況Ⅰ救急編」
総務省消防庁「平成27年度 救急業務のあり方に関する検討会報告書」
ニッセイ基礎研究所 「救急車が有料に?-救急搬送の現状と課題」基礎研REPORT(冊子版)2016年9月号